捕鯨拠地ラハイナからホノルルへ首都が移されたのは1845年。産業革命後のヨーロッパとアメリカの急速な経済成長と領土拡張の波が押し寄せていたハワイでも、ホノルルを中心にちょっとした建築・投資ブームが起きていた。当然、ホノルル港を中心に最初に発達したダウンタウン区域と官庁街には、19世紀後期から20世紀初期にかけて建てられた歴史的なビルが集中している。
 本誌では、今月号を皮切りに4回に渡ってホノルルの歴史的ビルの特集をお届けする予定だが、今回は、当時商社や銀行が集中していたマーチャント通りを中心にダウンタウンのレトロビルのうち15カ所を紹介してみた。誌面の都合で詳しくご紹介できないのが残念だが、アロハタワーをスタート地点に、ゆっくり回っても1時間ほど。本誌を片手に華麗なビクトリア王朝時代のホノルルへタイムスリップする旅に出かけてみたらどうだろう?


1. アロハタワー
 Aloha Tower
完成した1926年当時、ゴシック様式にモダンなアートデコの要素を加えた10階建てのアロハタワーはホノルルで一番高い建物だった。1930年から1940年代初期にかけての豪華客船全盛期時代、アロハタワーは、陸標として、ホノルルの玄関口として訪れる船舶を迎えていた。現在、展望台は毎日09:00-17:00の間公開されている。
住所:ホノルル港9番埠頭
完工:1926年
様式:ゴシック・リバイバル後期








2. ディリンガム
トランスポーテーション・ビル
Dillingham Transportation Building

住所:735 Bishop St. 
完工: 1929年 
様式:ルネサンス・リバイバル
1929年当時、ディリンガム一族は、オアフ鉄道&不動産会社をはじめ、ハワイの運輸業を牛耳ていた。ホノルル港の埠頭に隣接して建てられたこのビルには、帆船や六分儀、ロープなど航海をテーマにした装飾が多く用いられている。多彩色の大理石を使ったアートデコ様式の正面玄関ロビーとアルミ製のエレベーター・ドアがエレガント。ちなみに、敷地内の写真撮影は禁止となっている。




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3. アレクサンダー&ボルドウィン・ビル
Alexander & Baldwin Building

住所:822 Bishop St.
完工: 1929年 
様式:ヨーロッパと東洋の様式を融合した
ハワイ・リージョナル
ハワイの"ビッグ5" 企業のひとつA&Bの創業者達のためにC.W. DickeyとHartWoodのコンビがデザインしたこのビルは、ホノルル金融街の建物の中でも、中国、ハワイ、日本、イタリア、チベット、ムーア様式を最もみごとに調和したものと言われている。"ディッキー様式"と名付けられた、最上階のバルコニーを覆う瓦ぶきの屋根が特徴とされているが、正面玄関の天井や支柱、タイル壁画をはじめ、東西のデザインが絢爛に入り乱れる外装が興味深い。

    


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4. 旧スターブルテン・ビル
Star-Bulletin Building

住所:125 Merchant St.
完工: 1902年(一説には1912年)
様式:Beaux Arts



マーチャント通りには、近代ハワイの政治・経済史の推移を左右した企業のビルが連なっている。完成当時、チャールスR. ビショップ・トラストとビショップ博物館の幹部役員のオフィスとして使われていたこのビルは、ビショップ不動産が所有していたカメハメハ採石場から切りだされた黒溶岩で建てられている。ヴィクトリア朝様式とゴシック様式を反映しているデザインのこのビルは、完工当時からほとんど変わっていないという。

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5. スタンゲンワルド・ビル
Stangenwald Building

住所:119 Merchant St. 
完工:1901年、改装1980年 
様式:ルネサンス・リバイバル 
エレベ?ターと地下に駐輪場を完備した6階建てのこのビルは、1962年に19階建てのハワイ・ファースト・ナショナル銀行ビルが完成するまで、ダウンタウンでいちばん高いビルだった。外壁の漆喰飾りやバルコニーの手すりなどの装飾が華麗。

 


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6. ジャッド・ビル
Judd Building

住所:851 Fort Street Mall 
完工:1898年、改装1979年 
様式:ルネサンス・リバイバル
完成当時には4階建てだったビルには、ハワイで初の乗客用エレベーターが設置された。1900年からはアレクサンダー
&ボルドウィン社の本社として、1927年まではハワイ銀行の本社として使われていた。5階は、1920年代に増築されたもので、5階の板ガラス張りの大窓と1階のプラスチックの天蓋は1979年の改装によるもの。

  


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7. C. ブルーワー・ビル
C. Brewer Building

住所:827 Fort Street Mall 
完工:1930年 
様式:東西の様式を融合したハワイ独特の
ハワイアン・リージョナル
前庭を控えた個人の邸宅のように見えるこの建物は、C. ブルーワー本社ビルとして建てられたもの。正面玄関の扉、2階の回廊や鉄柵の模様、深窓、漆喰仕上げの外装などにスペインや地中海様式の要素が多く取り入れられている。現在アカデミー・オブ・アーツとして使われているチャールスM. クック邸も手がけたハーディー・フィリップスのデザイン。

  


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8. 旧ビショップ・エステート・ビル
Bishop Estate Building

住所:71 Merchant St.
完工:1896年
様式:リチャードソン・ロマネスク



マーチャント通りには、近代ハワイの政治・経済史の推移を左右した企業のビルが連なっている。完成当時、チャールスR. ビショップ・トラストとビショップ博物館の幹部役員のオフィスとして使われていたこのビルは、ビショップ不動産が所有していたカメハメハ採石場から切りだされた黒溶岩で建てられている。ヴィクトリア朝様式とゴシック様式を反映しているデザインのこのビルは、完工当時からほとんど変わっていないという。

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9. 旧ビショップ銀行ビル
Bishop Bank Building

住所:63 Merchant St.
完工:1878年 
様式:ルネサンス・リバイバル



現在のファースト・ハワイアン銀行の前身、ビショップ銀行の本社ビルとして1878年に完工。旧ロイヤル・サロンや横浜正金銀行ビルと同様に、角に正面玄関があるデザインだったが、残念ながら1階のアーチ型の窓や繊細な飾り模様と同様に漆喰で塗りこめられてしまっている。

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10. メルチャーズ・ビル
Melchers Building

住所:51 Merchant St.
完工:1854年
様式:19世紀商業用
現存する商業用ビルとしては、ホノルルでいちばん古いこのビルが完成したのは、カメハメハ2世が死去した1854年、日本が米・英・露と安政和親条約を結び開国した年である。小売業を営んでいたメルチャーズ&レイナーのために建てられた簡素な2階建てのビルの建材は、サンゴ石のブロック。一時期、ホノルル市の検察官事務所として使われたこともあり、現在もホノルル市が使っている。

  


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11. 旧カメハメハ5世郵便局
Kamehameha V Post Office

住所:46 Merchant St. 
完工:1871年 
様式:ルネサンス・リバイバル



1922年まで郵便局として使われていたこの建物は、鉄筋コンクリート・ブロックを使ったアメリカ最初のビルとして1971年に国定史跡、1987年に全米土木技師協会の土木技術史跡の指定を受けている。一時期、切手購入、女性、ハワイ人、外国人、日本人、ポルトガル人専用の窓口が設けられていた時代があったとか。現在は、クム・カフア・シアターとして使われている。

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12. マッキャンドレス・ビル
McCandless Building

住所:925 Bethel St.
完工:1906年 
様式:Beaux Arts



当時のダウンタウンのビルとしては珍しく地階があるこのビルは、2階建てとして着工。建築途中で4階建てとなり、後に異なった様式の最上階が増築されて現在に至っている。ハワイ全島で深堀り井戸事業を展開して一代を築いたマッキャンドレス兄弟は、王政転覆に一役かっている。

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13. 旧横浜正金銀行ビル
Yokohama Specie Bank

住所:36 Merchant St.
完工:1909年
様式:ルネサンス・リバイバル
この日系銀行は、1941年12月7日太平洋戦争勃発と同時に没収された後、1階は没収された日系人の所持品の倉庫として、地下は、シャワー、トイレ、鉄棒のしきり、250のベッドが設けられて、酩酊した兵士の収容所として使われていた。このビルをはじめ、ホノルルの900以上の建物のデザインを手がけた建築家ハリー・リビイングストン・カーは、横浜正金銀行ビルがいちばん気に入っていたという。 角に面したアーチ型の入り口、外壁の漆喰飾り、銅板の窓枠と扉、カレラ・ガラスの羽目板、大理石の階段と窓飾り、ローカル・アーティスト、ウィリアム・ウィリーの装飾画など興味深い要素が多いL字型のビルには、中庭もある。


  


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14. 旧ホノルル警察
Honolulu Police Station

住所:842 Bethel St.
完工:1931年
様式:スパニッシュ・ミッション
リバイバル
窓と入り口を飾るドラマチックなロココ調の飾りとアートデコの要素がしっくりエレガントにマッチしたこのビルは、1967年までホノルル警察・地方裁判所として使われていた。地裁は、80年代初期まで同ビルに残っていたが、現在、ホノルル市の不動産査定・民営住宅局が入居している。同ビルは、1885年にカラカウア王が購入した2階建ての警察署と同じ場所に建てられている。

  


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15. 旧ロイヤル・サロン
Royal Saloon

住所:2 Merchant St. 
完工:1890年 
様式:19世紀商業用



1890年にロイヤル・サロンとして開店したこのビルは、酒場として150年の歴史を誇る場所にある。禁酒時代には、オフィスと小売り業に使われていたが、1970年代にレストラン&バーとして再度オープン。現在は、アイリッシュパブ・マーフィーズが入っている。




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